注文住宅でマイホームを!住宅ローン控除や省エネ住宅ポイントの知識

住宅を購入すると決めたとき、誰しもいろいろな調査を行います。高い買い物ゆえ、失敗など許されないですよね。理想に合う住宅を探したい。その気持ち、とてもよくわかります。
人が生涯で買うマイホームは、ただ1つ。複数を所有するのは、ごく限られた富裕層の方だけ。だからこそ、住宅購入の知識がない人の方が圧倒的に多いのが現実です。
今回は、住宅購入に必要な知識や知っておきたい注意事項などをまとめてみました。

  1. マイホームを手に入れるには?
  2. 注文住宅のメリット・デメリット
  3. 注文住宅が建つまでの流れ
  4. 注文住宅を建てる前に考えておくこと
  5. 建てるために必要な費用
  6. 住宅を注文する業者について
  7. まとめ

この記事を読んで、夢に描いたマイホームを手に入れる第一歩となるでしょう。

1.マイホームを手に入れるには?

マイホームを手に入れるためには、さまざまな知識が必要です。費用・設備・立地条件・周辺環境などを考慮し、納得できる物件に出会うことが入り口となります。販売方法により特徴も異なりますので、一部を見聞きして購入してしまうと後悔することもあるでしょう。現在ある販売方式の特徴を把握し、自分に合うものを選ぶことが大切です。

1-1.建売住宅

建売住宅は、あらかじめ建物が新築されたものを購入する方法です。

1-1-1.すぐに入居できる

建物の設備や間取りは決まっており、出来上がったものから選びます。近隣の環境や交通アクセスなど、自分の条件と合うものなら、すぐに入居可能な気軽さを備えているのが特徴でしょう。転勤や子どもの進学に伴う引っ越しなど、スピーディーさを求める方のニーズに応える販売方法です。土地と建物をまとめて購入できるのも、建売住宅のメリットといえます。

1-1-2.ローン手続きがスムーズ

土地代金・建物代金があらかじめ決められている建売住宅は、ローン手続きもスムーズに行えます。建売住宅を主軸に販売している不動産業者なら、購入者の経済状況に合う金融機関を提案することも可能です。欲しい物件が決まったら手付金を支払い、ローンを組めば購入できます。手続きのスムーズさも、建売住宅のメリットでしょう。

1-1-3.自分の理想に添う設備や間取りとは限らない

建売住宅は、すでに建ててある住宅を購入するので、設備や間取りなどに不満が残るケースもあります。自分なりのアレンジをしようとして、多額の費用がかかる場合もあるでしょう。増改築が難しいものもありますので、将来を考えて見極める必要があります。万が一、ヒビ割れや欠陥があっても、気づくのは入居後という事例がほとんどです。

1-2.注文住宅

希望の条件に見合う土地と巡り会うことが、注文住宅建築の第一歩です。土地探しの必要性がない建売住宅に比べ、なかなか土地が見つからないと悩む方もいます。しかし、理想の家作りという面では、注文住宅に叶(かな)うものはないでしょう。

1-2-1.自分の好きなように設計できる

設備や間取りは、依頼者の希望を前提に設計されます。不要なものは排除し、必要なものはとことんこだわり抜いて作ることができるのです。将来のライフスタイルを予測した設計も可能ですし、目的や用途を絞った設計も実現できます。自由な発想で作れる家という部分では、注文住宅に勝るものはないでしょう。ハイグレードな住宅を希望する方にも人気です。

1-2-2.価格が高くなる傾向がある

こだわりの注文住宅は、仕様やグレードが建売住宅より上になることがほとんど。どうしても価格も高くなり、予算をオーバーして注文住宅を断念する方もいるのです。

1-2-3.工事期間が長くなる

建売住宅はすでに建っているものを購入するだけですので、すぐに住み始めたい方に好まれています。しかし、注文住宅は土地探しから始め、設計・設備の相談・施工と長い過程を経て、ようやく完成となるのです。住宅購入を検討し始めてから完成まで時間がかかるのが、注文住宅のデメリットだといえるでしょう。工事期間が長くなるなら、設計期間も合わせて二重生活を送る必要があります。時間と費用にゆとりがあるなら、注文住宅の建築を考える方が満足度が高いでしょう。

1-3.分譲住宅

分譲住宅とは、建売住宅とは少し違う定義です。

1-3-1.住宅メーカーが土地をまとめて購入して作る家

まとまった土地を住宅メーカーが購入し、住宅建築計画の元に建築した住宅を販売する方式のこと。購入した土地の中に複数の住宅を建てるため、分譲住宅として販売する際に「〜タウン」などのネーミングを行うこともあります。1つの住宅メーカーが作るため、規格や外観が似たような印象を受けてしまいますが、内装やわずかなこだわりで違いを出している住宅がほとんどです。

1-3-2.費用が抑えられるメリット

住宅メーカーが購入した場所に、一斉にいくつもの住宅を建てますので、資材の仕入れがまとめて行えます。1つ1つを仕入れる手間や人件費などが削減でき、建物代金が抑えられるのがメリットでしょう。希望者には土地の販売も行われます。

1-3-3.デザインの選択肢が少ない

分譲住宅のデメリットは、すでに規格が出来上がっていること。自分なりにデザインすることができないため、理想とは違うと感じる方もいます。間取り選択が可能な物件もありますが、ほとんどの分譲住宅では決まった間取りから選ばなくてはなりません。

1-4.中古住宅

建売住宅・注文住宅・分譲住宅のいずれも、新築のものを指しています。一方、中古住宅は名前のとおり、以前誰かが住んでいた古い物件を意味するものです。

1-4-1.最大のメリットは低価格

住宅は、住み始めた日から資産価値が下がっていくとされているため、中古物件は低価格になるものばかり。新築購入に比べ、1000万円以上安くなることもあります。立地条件や周辺環境など、自分の条件に合う中古物件を探すことが大切です。住みたい町があるけれど、新築する費用がないという方に好まれている販売方式でしょう。

1-4-2.建物の劣化には注意が必要

低価格にこだわり過ぎると、建物の耐久性がなく、修繕に思わぬ費用が必要になることもあります。建物の劣化は、見た目だけで判断することが難しいため、専門家による診断を受けることが重要です。耐震強度不足の住宅では、震災時に倒壊する恐れもあるでしょう。シロアリや木材の腐食など、必ずチェックしてから購入することが失敗しないためのポイントです。

1-4-3.リノベーションやリフォームも可能

中古住宅を安く購入し、自分の好きなデザインに変更するケースも増えてきています。外観を美しくリフォームし、間取りを大幅に変更するリノベーションで建物の機能をアップする方法です。

2.注文住宅のメリット・デメリット

時間や費用がかかっても、自分のこだわりを反映した住宅設計ができるのが、注文住宅における最大の魅力です。理想の家を作りたいと考えている方は、注文住宅のメリットとデメリットを知っておいてください。

2-1.予算を調整しながら設計できる

自由度が高い反面、費用が高くなるというイメージが強い注文住宅ですが、実は予算調整しながら作ることも可能です。こだわる部分と安く抑えたい部分を明確にし、費用配分を考えて設計します。全体の予算を最初に組み、どこに重点を置くかを施工会社と一緒に相談して決めていきましょう。予算内でも、配分しだいで納得できる注文住宅を作ることができます。

2-2.建築過程を目で見て確認できる

建売住宅はすでに出来上がった住宅を購入するため、どのような作り方をしているのかわからない部分が多くあります。どの住宅販売方法であっても、第三者評価機関による住宅性能表示制度で検査を利用可能です。注文住宅なら、完成までの間に制度を利用して建物の安全性確認や評価を受けることができます。建築中に工事現場へ足を運び、自分で現場責任者とやりとりしてみてください。質問や疑問など、率直に感じたことを確認すると安心です。

2-3.構想から完成までの時間が長い

マイホームを持とうと考えてから、実際に住み始めるまでの期間が、建売住宅・分譲住宅・中古住宅に比べて長くかかるデメリットがあります。土地探しから始めるため、周辺環境のリサーチも必要です。すでに地域が決まっている方は、なるべく好条件の場所に絞り、土地購入からスタートします。設備や間取りなど設計に時間もかかるため、すぐに住み始めたい方には向かない方法です。

3.注文住宅が建つまでの流れ

住みたい家をイメージすることから始まる注文住宅。家が建つまでの流れを大まかにご紹介します。

3-1.理想や具体的なイメージをまとめる

住みたい家を漠然と想像しているだけでは、マイホーム作りは前に進みません。家族全員で相談し、ライフスタイルをしっかり見直すことから始めましょう。家族の中に不満の声があるなら、解消する方法を模索します。間取り・設備・環境など、家族全員の声を反映した構想を具体的にまとめてください。

3-2.最も重要な資金計画

住宅には多額の費用がかかります。用意できる頭金・利用できる住宅ローン額・支払期間など資金計画は入念に行わなければなりません。利用する金融機関もチェックしておきましょう。
住宅ローンは、子どもの成長や収入の増減で支払い可能金額が常に変化します。予期せぬライフスタイルの変化にも対応できるかどうか、しっかり考えておかなければ破綻してしまうのです。資金計画は専門家と一緒に行ってください。

3-3.施工会社の選定

たくさんある注文住宅の施工会社から、自分に合う会社を選びます。信頼できる会社選びには、情報収集が大切です。資料請求を行い、インターネットや情報誌で評価や利用者の声を確認しておきましょう。

3-4.土地探し

施工会社が決まったら、土地探しの手伝いをしてくれることもありますので、相談してみてください。候補地があるなら、不動産会社と連絡して決めます。土地探しは住宅建築における最も重要なポイントです。住み始めてから周辺環境が整っていなかったなど不便を感じないよう、事前調査をしっかり行わなければなりません。

3-5.設備・間取りを具体的に決める

施工会社と相談し、家族と決めたイメージを具体的に作っていきます。自分の理想が絵になる段階で、注文住宅で最も楽しく魅力ある時間となるでしょう。早い段階から要望を明確にし、実現可能かどうかも判断する必要があります。

3-6.見積もりを依頼

施工会社が決まっても、実際に見積もりを出してもらうと金額が見合わないケースもあります。複数から出してもらい、最終決定するようにしましょう。見積もりの詳細をきちんと把握し、自分の希望に添うものか比較してみてください。
ただし、価格だけで判断してしまうのは危険です。安値だけれど想定とは違う住宅になったという事例は、注文住宅で多い失敗の1つ。施工会社の対応なども見て、信頼できる会社選びを心がけてください。

3-7.契約へ

納得できる見積もりが決まったら、いよいよ契約へ移ります。工事請負契約書を締結し、工事開始に入るのです。早い場合で設計に3〜6か月、工事期間に6か月を要します。見積もりを比較するのに、プラス1か月のゆとりを見ておきましょう。

4.注文住宅を建てる前に考えておくこと

注文住宅について理想や夢を持っている方は多いと思います。しかし、後々苦労しないためにも、必ず考えておきたいことや備えておきたい知識があるのです。後悔しない住宅作りに生かしてください。

4-1.ライフプランを考えよう

住宅は、建てて住み始めたら終わりではありません。返済は続きますし、住宅が長持ちするためのメンテナンスも必要です。
ライフプランとは、住宅ローンの返済計画やメンテナンスなどの出費を考えること。建てた後も費用がかかることをしっかり予測しなければなりません。
収入が増えるばかりではなく、減ることも想定した資金計画をしておきましょう。無理のない返済計画を練り、急な出費への備えをしておいてください。お子さんの教育資金も含め、支払いがスムーズにできるライフプランを考えておきます。

4-2.優先したいポイントを書き出す

注文住宅への憧れを実現するため、家のいたる場所の設備や間取りにこだわる方も多いと思います。しかし、すべてを取り入れてしまい、予算をはるかにオーバーしてしまうこともあるでしょう。資金計画から外れ、建築内容を大幅に見直す必要を迫られます。
施工会社と相談する際に、何を最も優先したいかを書き出しておくと安心です。優先順位を決めることで話し合いもスムーズに進み、設計計画も円滑に行われます。

4-3.間取りがシミュレーションできるアプリ

「せっけいクラブ」という間取りシミュレーションアプリが人気です。平面でわかりにくい間取りも、立体でイメージしやすくなります。部屋の方角やわけ方に的を絞って考える方もいるでしょう。しかし、家具を配置した場合にどうなるかを予測することができるのです。ドアの開き方・動線を確認する・収納量のチェックなど、図面だけでは理解しにくい部分も自分で計画することができます。施工会社からの提案と一緒に、自分でも試してみてください。

4-4.注文住宅で注意しておきたいこと

注文住宅の魅力は、自由に設計できること。しかし、住宅建築は建築基準法に基づき、適正に行われなければ違法になります。

4-4-1.周辺地域の安全を確保する

周辺建物や地域の安全が確保できないなら、希望しても認められません。建築基準法に基づき、基準に満たない設計は建築確認が受けられないのです。周辺地域の安全を確保するということは、災害時に緊急車両の通行を妨げることなく、避難にも影響が出ないよう配慮すること。建築確認がない限り、施工することはできません。

4-4-2.施工会社の意見もきちんと聞こう

自由度が高いとはいえ、自分の意見ばかり押しとおすのは考えもの。施工経験豊富な会社なら、資材・間取り・設備などのアドバイスも的確で、妥協が必要なポイントもしっかり教えてもらえます。実際に注文住宅で起こった失敗例やデメリットも聞くことができるのです。失敗から学ぶことは多いもの。自分の理想を確かなものにするため、必ず施工会社からのアドバイスも生かしてください。施工会社とイメージを共有し、共に考えていくようにしましょう。

5.建てるために必要な費用

注文住宅を建てる前に、必要経費の計算もしておく必要があります。効率よく返済していけるよう、予備知識は備えておきましょう。

5-1.事前調査費用

住宅建築には、事前調査が必要です。測量3万円・地盤調査費用6〜7万円が相場とされています。特に地盤調査は重要で、住宅を建てる場所が安全かどうか・地盤沈下の恐れはないか・補強すれば建てられるのかなどを判定するものです。
地盤調査をしないまま着工し、完成後に不具合が出るケースもあるでしょう。建て直しや修繕が求められることもあり、余計な出費と時間の無駄が出てしまいます。必ず地盤調査は行ってください。

5-2.相談できる専門家

注文住宅の相談をした会社に依頼しないといけない気がする。断りにくくなってしまった。見積もりを出してもらうと依頼する側(がわ)も遠慮してしまうことがありますよね。しかし、高い買い物ゆえ、慎重に決めることが重要です。施工会社に相談する前に、住宅専門家へ相談してみてはいかがでしょうか?
弁護士会や民間団体主催で、住宅相談会を行っています。定期的に開催されていますので、情報収集を兼ねて参加してみてください。疑問や不安も解消され、知識を持つこともできます。

5-3.住宅ローンについて

注文住宅を建てる際の自己資金はどのくらい準備していますか?ほとんどの方が、住宅ローンを利用して返済していく形式を取るはずです。住宅ローンには審査があり、事前審査・本審査を通過した方だけが受けられる制度。返済能力を見て判断されます。

5-3-1.住宅ローン申込人について

住宅ローンを受ける家が、申込人の登記であることが必要です。登記は、住宅完成後に所在地・内容を自治体へ届け出ること。登記名義人が申し込みするのには理由があります。住宅ローンを受ける家と土地を抵当にし、住宅ローン契約を締結するためです。

5-3-2.頭金

頭金は、最初に出すことができる自己資金を意味します。頭金が多いほど、将来の住宅ローン返済は楽になりますし、住宅ローン審査も通過しやすくなるでしょう。
もちろん、頭金なしでも住宅ローンを組むことはできます。しかし、ほかにローンを抱えている場合は返済が滞(とどこお)るなど、思わぬトラブルに発展することがあるはずです。最悪の場合、金融機関のブラックリストに名前が載ることも。頭金が少なければ、月々の返済額がアップします。なるべく返済額を減らしたいなら、頭金は多めに用意しましょう。

5-3-3.繰り越し返済とは?

住宅ローンには、繰り越し返済という制度があります。月々の返済額は同じまま期間を短縮する期間短縮型と、残りの支払期間はそのままで月々の返済額を軽くする返済額軽減型の2種類です。
利息軽減には期間短縮型が、毎月の返済を抑えて負担軽減を目指すなら返済額軽減型がおすすめ。いずれの場合も、年明けに繰り越し返済を行うのが有利だとされています。住宅ローン減税額が少なくなってしまうため、年末は避けるべきという意見が多いのです。

5-4.勤務状態を想定する

現在働いているから、収入が右肩上がりになっていく一方というわけではありません。すべての人が毎年昇給し、計画とおりの返済に至ることはないでしょう。サラリーマンには定年退職もありますし、定年退職後に再雇用があるとも限りません。退職金を返済に使うのか、老後の資金に取っておくかという考え方もそれぞれ違うはずです。返済には、いつまで働けるかというポイントも押さえた返済計画を練る必要があり、背伸びした返済計画は経済破綻を招きます。共働きをし、妻の収入をそのまま返済へあてるのかなど、ライフプランはしっかり考えておきましょう。

5-5.子どもに必要な費用とは?

1人の子どもが生まれてから成人するまで、1000〜1500万円かかるといわれています。住宅に続いてお金がかかるのが教育資金で、特に大学進学費用は私立なら余分に用意しておくべきです。
妊娠し出産するまでにかかる費用は、育児用品を揃(そろ)えるのも想定しておかなければなりません。病院へ支払うべき出産費用は、一般的に50〜70万円です。共働きで返済していく計画を立てているなら、出産後に保育園入園なども考えておく必要があるでしょう。認可保育園なら収入に応じた保育料で抑えられますが、認可外保育園の場合は月に6万円ほどかかることがあります。保育料をカバーできる収入が得られ、返済に回すゆとりがあるかどうかもポイントです。
成長に伴い、塾や習い事などの出費も出てきます。月に2〜3万円は予算を持つようにしてください。

5-6.保険料の内訳

住宅ローンを組むときに必要な保険料の内訳をご紹介します。

5-6-1.団体信用生命保険への加入

団体信用生命保険への強制または任意加入が求められます。団体信用生命保険への加入が必要な理由は、住宅ローンを組んだ人に万が一のことがあった場合に支払いができなくなるためです。ローン残額を死亡保険金でまかなう制度で、加入しておくべき生命保険の1つとなります。

5-6-2.地震保険

地震保険は任意で加入するものです。地震による被害があったとしても、火災保険で補償されるのは火災保険金額の5%。地震で建物が倒壊しても、すべてを補償することはできません。しかし、地震で建物が倒壊した後も住宅ローン返済は続きます。地震で倒壊した住宅の建て直しや修繕・建築中の仮住まい費用・生活資金など、地震保険で補える部分は大きいのです。

5-6-3.火災保険

住宅ローンでは、借りた側(がわ)と貸した側(がわ)の両方が困ることがないようにしなければなりません。火災保険には質権設定特約があるものもあり、住宅ローンを組む際に金融機関から勧められる保険の1つです。火災保険の支払いを受ける状況に陥ったとき、保険契約者本人より優先して住宅ローンの金融機関へ支払われるもの。住宅ローンが滞(とどこお)らないように設けられた制度です。

6.住宅を注文する業者について

注文住宅を依頼するとき、どのような業者を思い浮かべますか?CMで聞くような大手メーカーもあれば、独自の発想と視点を持つこだわりの建築士までさまざま。業者についてご紹介しますので、依頼する際の参考にしてみてください。

6-1.注文できる業者の種類

6-1-1.大手ハウスメーカー

大手ハウスメーカーには、住宅展示場を用意して完成イメージをより具体的に想像しやすい環境があります。相談・依頼から施工・引き渡しまで一貫したシステムで行い、品質が統一されているのが特徴です。金融機関や引っ越し業者との提携も確立されており、手続きがスムーズというメリットもあります。
一方、大手ハウスメーカーのデメリットは、CMや広告費用がかかっているため、建築費用が上がってしまう傾向にあること。住宅展示場にあるものは追加工事されたものが多く、実際に自分の注文住宅で再現しようとするなら、施工費用が高くなってしまいます。

6-1-2.工務店

地域の工務店に依頼して注文住宅を建てる方法もあります。地域密着型の工務店を利用するメリットは、アフターサービスまで丁寧に行ってくれること。宣伝広告費もかかっていないため、大手メーカーより安い価格で施工できるのもメリットでしょう。自由に設計でき、見積もりの内訳も明確であることも挙げられます。
工務店とひとことでいっても、大きな工務店から小さな工務店までさまざま。地域で豊富な実績を持ち、職人気質(かたぎ)のある工務店選びをしましょう。自社で一級建築士を抱えている工務店なら、細かなこだわりや変更もすぐに対応できます。
実際の施工事例や工事中の物件を見学に行き、仕事ぶりを確認する方法もおすすめです。腕に自信のある工務店なら、現場見学会といって構造や完成した建物を見てもらう時間を設けています。依頼前に足を運び、疑問や不安などを相談するといいでしょう。

6-1-3.一級建築士

大手ハウスメーカーでも工務店でも、一級建築士を抱えています。設計を専門に扱う職業ですので、施工を行いたいならハウスメーカーや工務店との別途契約が必要になるのです。一級建築士にデザインや設計を依頼して見積もりを出してもらっても、施工費用までの金額を算出することはできません。
ただし、設計のプロであるため、デザインの自由度は高くなります。理想を反映するため、設計だけ一級建築士に依頼する方法もあるでしょう。デザインを表現できるメリットがある反面、施工会社の手配や想定よりデザイン費用がかかるなどデメリットも。
ハウスメーカーや工務店選びをする際に、一級建築士がいるところへ依頼する方が費用負担も軽くなりますし、交渉など面倒も少なく済みます。

6-2.業者の選び方

優良な業者のポイントは、丁寧な作業をしているかどうか。注文住宅は実際に完成後でようやく良し悪しは判断できるようになりますよね。しかし、工事している現場へ足を運ぶと、仕事ぶりがよく見えるもの。
作業現場の清掃を心がけ、整理整頓と清潔を意識している業者なら信頼できるでしょう。また、作業員の仕事に対する意識や教育も徹底しています。
いかに自分の意思が反映され、低価格で住宅建築できるかに意識が傾きがちですが、現場作業の丁寧さはアフターフォローにも影響するので注意してください。

6-3.選ぶ際の注意点

一生に一回だけの大きな買い物だからこそ、業者選びは慎重に行うことが求められます。入居後に困った! という事態にならないためにも押さえておきたいポイントを知っておいてください。

6-3-1.キャンペーンを利用して契約を急ぐ会社は注意

悪質な事例では、キャンペーン期間中だからと契約を急(せ)かす業者もいます。注文住宅は誰でも時間をかけて構想を練り、納得できるまで変更を繰り返して設計するもの。
「今なら安くなる、値引きする」とアピールする業者は避けるべきでしょう。

6-3-2.自分自身もきちんと知識を持つ

住宅建築は、人生の一大イベント。注文住宅は、ゼロから築き上げる必要があります。設備1つでも依頼者の意思が尊重されるもので、知識がないからとカタログから選んでお願いするだけでは失敗することがあるのです。
こだわりの注文住宅にするためには、自分自身の知識も大切。住宅ローンや減税についても学び、仕組みをよく理解することです。納得できる注文住宅を実現するために、受け身ではなくわからないことはどんどん質問して情報を得るようにしてください。

7.まとめ

いかがでしたか?注文住宅の建築は、価格だけで判断してしまうと失敗することがあります。住宅は住み始めてからどんどん劣化してしまうためアフターフォローも大切です。しかし、最初にしっかり地盤調査などを行って安全を確保することも重要でしょう。低価格だけに注目し、後々トラブルに発展することや仕上がりに満足できないこともあります。満足できる注文住宅に住むためには、自分自身も知識を持って業者と一緒にイメージを共有しながら進めていきましょう。

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